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 ローズ精油とローズウォーター(Ⅰ)

Rosa damascena

Rosa Damascena ~ダマスクローズの魅力~

2024年8月から、SolLunasで販売を開始したローズウォーター。おかげさまで、多くの方々にご好評いただいております。

ローズウォーターとは、バラの花弁を水蒸気で蒸留する際に得られる「芳香蒸留水」のことです。この製法により、水に香り成分が溶け込んでいます。製品には「ダマスクバラ水」と記載されており、ハイドロラットやフローラルウォーターとも呼ばれることがあります。この「Aroma Times」では、そんな「バラ」についてお話したいと思います。


バラとその精油の奥深さ

バラは、品種改良されたものを含めると、世界で約2万種あると言われています。バラ園を訪れたことがある方なら、その色や形の多様さ、そして圧倒的な美しさに心を奪われた経験があるのではないでしょうか。

そんなバラの香りを凝縮した精油は、アロマセラピーでも人気が高い一方で、手に入りにくい高価なものでもあります。一般的な5mlボトルで数万円、1mlや2mlといった少量で販売されることも少なくありません。この理由の一つが、香り成分の採取量が非常に少ないことにあります。

高級ブランドの香水に使われるバラの香りは、多くの場合、専用のバラ農園で採れた精油を使用しています。一方で、ドラッグストアで目にする「バラの香り」の多くは合成香料が用いられています。私たちが「バラの香り」と思い描く香りは、調香師たちが作り上げた芸術そのものとも言えるでしょう。


本物のバラの香りとは?

アロマセラピーで使われるバラの精油には、おもに水蒸気蒸留で抽出される「ローズ・オットー Rosa damascena」と、溶剤抽出による「アブソリュート」があります。ローズ・オットーは自然でフレッシュな香りが特徴で、アブソリュートは「バラらしい」甘美な香りが楽しめます。

ローズウォーターは水蒸気蒸留で得られるもので、香水のように甘く濃厚なものではなく、自然そのもののグリーンさや爽やかさが特徴です。これこそが、加工されていないバラの花弁そのものの香り。天然の花から抽出されるローズウォーターは、軽やかで柔らかな香り成分を持ち、心や肌に優しく寄り添います。

アロマセラピーの中ではローズ精油は人気の高い精油でありながら、なかなか手に入れることが難しい精油のひとつです。
大変高価な精油だからです。たとえば一般的な5mlの精油のボトル(このサイズで販売されることも珍しいくらいです。1ml, 2mlくらいの少量で販売されることも多いのです)では、数万円程度、という価格です。

香水に含まれるバラは、高級ブランドでは精油を使うためにバラ農園を所有していたりすることもあります。さすがに超一流の調香師、微細な香りのデザインへのこだわりが感じられます。


バラの産地とその違い

ブルガリア ~バラの谷~

ブルガリアの「バラの谷」として知られるカザンラク周辺は、世界屈指のバラの生産地です。

バラの谷

 
ヨーロッパ南東の国、ブルガリアに「バラの谷」と呼ばれる一帯があります。ブルガリアの首都ソフィアから東に約200km、
バルカン山脈の南に横たわる東西140キロほどのバルカン山脈とスレドナ・ゴラ山脈の間にある細長い渓谷にあります。
5月から6月にかけて渓谷一帯がピンク色に染まり、その光景はまさに絶景。ここで育つバラは、湿潤な気候と水はけのよい土壌のおかげで、高品質な香料用バラが収穫されます。カザンラク( Kazanlak)を中心としたこの山間の谷は、世界に名だたるバラの生産地であることからこの「バラの谷(Rose Vally)」と呼ばれています。

温暖で湿潤な気候と水はけのよい地質がバラの生育には最適で、谷のあちこちに広大なバラ畑が広がっています。
香料用のバラは、世界中から需要がありブルガリアでは一大産業です。
そのようなことから、バラと言えば「ブルガリア」(ブルガリアンローズ)と思う方も多いのではないでしょうか。

トルコ ~ウスパルタのバラ~

トルコのウスパルタ市もまた、バラの一大生産地として有名です。「ローズ・オットー」という精油の名前は、オスマン帝国の「オットマン」に由来しています。トルコでは、ハイドロラットをヘルスケアの一環として飲用する文化もあるほど、バラが生活に密着しています。
市庁舎などの公共施設のロゴマークもバラ、など生活全般はバラに満ちているようです。


ローズ精油の贅沢さ

ローズ精油は「金の液体」とも称され、450gの精油を得るためには1440kg以上ものバラが必要です。そのため、精油は非常に高価でありながら、その希少性と魅力が多くの人々を惹きつけています。

ブルガリア産とトルコ産の精油やローズウォーターは、それぞれ香りや成分が微妙に異なります。その違いを楽しむのもまた一興ですが、手に取るだけでも特別な体験となることでしょう。


バラの花弁を釜に移す作業は慎重に行われます。蒸留の温度や時間は製造所によって異なり、植物の種類に応じても変化します。
最適な精油や芳香蒸留水を得る条件は、経験に基づいて決定されます。

                                                  

画像出典: CREA Traveller 安尾 亜紀氏

次回の「Aroma Times」では、ローズウォーターのさらなる魅力に迫ります。天然のバラがもたらす美しさをぜひ体感してみてください。




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