AIと香り—感覚を磨くということ - アロマ商品開発のSolLunas

近年、AI（人工知能）の進化は驚くべき速さで私たちの生活に浸透しています。
知識を探すこと、膨大な情報を整理すること、効率的な答えを導き出すこと。
こうした営みはもはやAIの得意分野であり、人間を凌駕する場面も少なくありません。
いえ、もしかするととっくに凌駕されているのかもしれません。

ふと、考えてしまします。－－では、この先の時代に「人間らしさ」とは何なのかと。
もはや簡単に答えが出せるツールを使っていて、考えずとも「答え」に近いような回答を、AIが秒で出してくれます。
そうなると、「考える葦」のはずの人間の存在はなんだろう。

私たちに残された「人としての存在」の意味はどこにあるのでしょう。

AIができること、人間にしかできないこと

AIは膨大なデータを収集・分析し、最適な答えを瞬時に導き出す力を持っています。
医療、教育、金融といった分野でもAIはすでに不可欠な存在となり、人間の知的活動をサポートし、時には超えていくことさえあります。

しかし、

AIは「体験」を持ちません。
香りを嗅いで胸がすっと軽くなる瞬間や、懐かしい匂いから涙がこぼれるような体験は、AIには理解できないものです。
そしてその共感も。

人間は情報を処理するだけでなく、「その瞬間の気温や光、空気の湿度」といった状況と香りを重ね合わせ、
記憶や感情を深く刻み込みます。同じ香りを嗅いでも、一人ひとりの体験や記憶によって異なる意味を持つのです。
AIが再現できるのは香りの分子構造や統計的な好みの傾向までであり、
「感情を伴った個別の体験」にまでは到達できないのです。

そして、この差こそが、人間にしかできないことの核心だと思うのです。
人として存在する意味、その答えのひとつは「感覚」ではないでしょうか。
AIが知識を担う時代に、人は感覚を通して「生きることそのもの」を記憶にやきつけながら、
一つ一つの体験を重ねていくのです。

香りが脳にもたらす働き

嗅覚は五感のなかでも特異な感覚です。
視覚や聴覚が大脳皮質を経由して認知に至るのに対し、嗅覚は感情や記憶を司る大脳辺縁系（古い脳とも言われます）に直接届きます。
これは人間の進化の歴史においても重要で、香りが「生きるための本能」と直結してきた証でもあります。

たとえば、食べ物の腐敗臭を嗅ぎ分けて身を守る、火の煙の匂いで危険を察知する。
これらは理屈ではなく即座の反応であり、人類が生き残るための「本能」的な感覚です。

香りは瞬時に感情や気分に作用するのは、この本能の部分に香りの成分がアクセスするから。
そのことによって活気が出たり、落ち着きを取り戻す、安らぐという結果につながるのです。　　
柑橘の香りで活力が湧き上がったり、ラベンダーの柔らかな香りで眠気が誘われたりするのはその一例です。

さらに近年の研究では、香りがストレスホルモンの分泌を調整したり、
自律神経のバランスを整えたりすることも明らかになっています。
つまり、香りは「癒し」や「快適さ」をもたらすだけでなく、人間の心身の健康と成長に深くかかわる力を持っているのです。
AIが情報として香りを解析することはできても、実際に香りが人の心を震わせる瞬間までは再現できません。

だからこそ、私たちは「香りを感じる力」を磨き、日常の中で活かしていく必要があるのです。

Fragrance Hubでの取り組み

こうした考えから、SolLunasは香りを体験し、楽しみ、学ぶための空間——Fragrance Hubを立ち上げました。
ここでは天然精油と合成香料を比較して学ぶ講座や、香りと感情の関係を探るワークショップ、創造力を育む調香の実習などを行っています。

● 今秋から「心身の感覚を研ぎ澄ます」ことを目的にした、さまざまな講座を開講予定です。
詳しくはFragrance Hub のご案内ページをご覧ください。

SolLunasの願い

SolLunasは「香りを通じて人と人、人と自然をつなぐ」ことを使命に活動しています。
香りを扱うOEMや商品企画の現場においても、単なる情報の羅列ではなく、
どのような感覚体験を提供できるかを考えています。

日常生活の中で香りを取り入れたい方には、SolLunasのオンラインショップでご紹介している商品もおすすめです。
たとえば、鹿児島の大自然で育った有機モリンガと、オリジナル精油ブレンドの有機モリンガアロマソープや、
アロマ初心者でも上級者っぽい精油ブレンドが簡単に作れるプランツ・ジョイアロマキットなど、
ご自宅で香りを楽しみながら心身を整えるきっかけとなってくれるのではないでしょうか。

感覚を磨こう

AIが私たちの知的活動を代替していく時代だからこそ、
人間が得意とする「感覚」を、さらに研ぎ澄ますことができるのではないかという期待があります。
感情があること、そしてその共有ができることを、私たちはもっと楽しめる時代になるのかもしれません。
五感のなかでも、嗅覚は異質。香りはその感覚をもっとも端的に呼び覚ます力を持っています。

SolLunasとFragrance Hubは、
AIでは決して代わることのできない「感じる力」、私たちにとっての何物にも代えがたい力を、
これからも多くの方とシェアしていきたいと思っています。